2005年11月24日

ビビリの犬とのくらし方 その4

長々と引用が続いていますが・・・
テキストを配られていると思って我慢して読んでおいてください。
今書いていることは、子犬にとって最良な環境での成長です。

犬の行動学 エーベルハルト・トルムラーより

移行期(三週)
大体の場合、瞼と外耳が開くのは一三日目ですが、一七ー一八日日にならないと視覚は活動を開始せず、それも不完全で、視覚、聴覚、嗅覚が完全な状態となるにはなお数日が必要です。いずれにせよ一八日目頃から、子犬が鼻で兄弟の存在を確かめ、搬蝕し始めるありさまが観察できるようになります。一七日目前後に、子犬たちが相互に嘗め合ったり,相手の耳、鼻、足などを日にくわえる動作が見られることもあるでしょう。
この時期をほかの段階と区別するのには意味があります。この比較的早く過ぎ去る時期は、「乳を吸い眠る」というまったく自己中心的な生活から、身近な環境を意識する段階への移行期なのです。成犬の社会的行動のきざしとも見られる、兄弟に対する接触が最初におこなわれるのもこの時です。
もちろん、社会的行動の様式そのものはそんなに発達してはいません。短い留守の後で母犬が巣に戻ると、まだ短い尻尾を不器用に振って、興奮した様子が示されるだけのことです。しかし、この時期になると、子犬たちは母犬に向かって頭を上げ、口に届こうと努力し始めます。そしてその行為には深い意味があるのです。実際、この重要な一八日目頃から、大体は父犬と協力して、母親は子犬たちに補助食を与えるようになります。母犬は半分消化された柔らかい餌を、口から戻して与えるのです。この様子を観察すると、犬が幼い時からよく学習できる生き物だ、と納得がゆきます。このようなやり方での度でも追加の食事を貰うと、彼らは両親の口が貴重な食物の出てくる場所だ、と直ちに学んでしまうのです。この時から、子犬たちは両親の口に大きな関心を抱き、その口角に自分の鼻を突っ込むと、しばしば口が大きく開き、熱望していた食物が得られることを理解するようになります。
明らかに、子犬の小さな鼻面は両親に対して「鍵となる刺激」の役割を果たしています。
子犬自身の唇も大変敏感なもので、指先でちょっとくすぐってやると、目を大きく開けたりします。
この最初の重要な経験が、犬の一生にわたる行動様式を植えつけることになるのです。
巣に戻ってきた大人の犬におねだりをする習慣が「お互いの挨拶」に変わり、それは犬同士のみならず人間に対しても示されます。我々の顔つきは犬のそれとまったく異なっているのですが、犬には何処がロであるかははっきり判り、我々が帰宅すると、唇の端を鼻面でつつき、愛循を表現してくれます。ただ、人間は背が高いので、犬は飛びつかざるをえないわけです。
私がここで述べたように、唇の端に子犬たちが引きつけられるという犬固有の行為にこそ、学習の可能性のきざしが見られるのです。現在、家犬の親たちの大多数においては、この食物を吐きだしてやるという本能的な行動が消えうせてしまっていますが、子犬たちのほうには餌をねだる行為がいまだに残っているのです。…
生まれながらの知識、つまり「遺伝的相互作用」には、経験との関連はまったくありません。また、誕生直後には役に立たない「遺伝的相互作用」はすぐには現れず、それが役立つ時点まで熟成し続けられます。そして「遺伝的相互作用」ーこの場合は餌をねだる行為ーは、親の口から「食物が吐き出される」という「鍵となる刺激」が与えられて初めて発現するのです。したがって、これは、一見、学習であるかのように受けとられてしまいます。もちろん、これに経験が加われば、その行為は更に確実におこなわれるのでしょうただ、犬に関する限り、この件については慎重な観察が必要なのです。私は、経験を蓄積するために、犬という動物がどのように作られているかを既に説明しました。ある動物が、経験を重視するように作られていれば、その分、生まれながらの知識の重要性は減少します。たとえば、魚、鳥などの下等動物においては、生まれながらの知識が「種」の存続の鍵を握っているのです。生後に学習される追加知識は「遺伝的相互作用」に不足がある場合にそれを補うだけのものです。これとは異なり、犬は学習するために作られており、生まれながらの知識はもっぱら学習が充分なされるのを助け、生き延びるための補完作用をするにすぎません。したがって、場合によっては、犬は経験によって得た知識(「取得された相互作用」と呼ぶ)を生まれながら持っている衝動に優先させ、後者を抑制することさえできるのです。
さて、二〇日目頃まで、子犬たちは巣から離れず、そこは非常に安全な場所なので、まだ恐怖に対する反応を示しません。子犬がかたまっている中に指を入れてご覧なさい。新しい物を確かめようとして、彼らは指の臭いを嗅ぎ、嘗め、口にくわえたりします。巣は彼らにとって全世界であり、そこにある物すべてがその安全な世界に組み込まれてしまうのです。
ところが、この状態は二一日目から自然に変化してきます。子犬たちに突然、母犬について歩く衝動が芽生え、初めて巣の外に出るようになるのです。この時見られる現象は犬科の動物特有のものです。雌犬は自分についてくる子犬には、もはや関心を示さなくなり、逆に、雄犬は気もそぞろになってしまいます。彼は最大の喜びを表しながら予犬たちの回りを飛び歩き、彼らと遊ぼうとします。ところが、それが子犬に対してまったくもって思いやりのない方法なのです。鼻面で子犬を突き飛ばし、足でひっくりかえし、ひどい時は歯でくわえて数メートルも向こうに放りなげたりします。この光景を初めて見ると、雄犬は子犬を殺そうとしているとさえ思うほどです。しかし、子犬たちは身の処し方をよく心得ており、大声で鳴きながら背中を下にしてひっくりかえるのですすると、その瞬間、雄犬は背を向けてしまいます。この子犬の行為が有名な「服従の姿勢」と呼ばれるもので、正常な犬同士の間では、確実に相手の攻撃性を抑制するのです。腹と喉を見せる行為は親の介抱も促し、親は横腹や会陰部を嘗めてやったりします。
我々の犬もこのような恰好をして服従の念を表し、同時にそれを善意で受け入れるあかしとして、飼い主に腹を撫でたり、ひっかいたりしてもらいたがるのです。よく見ることなのですが、犬たちは、はばかることなくこのやり日を利用します。階級の上の雌犬が、下位の雌犬に背中を地面につけて引っくり返る姿勢を二時間以上も続けさせるのを見たこともありました。初めは喰嘩だったのですが,下位の雌犬はすぐひっくり返り服従の姿勢を取ったのです。上位の雌犬は荷足して立ち去りましたが、ずっと目を離しません。下位の雌犬が、そろそろ一件落着と足を地面に着けると同時に上位の雌犬は意地い悪く唸り飛び掛る。哀れな雌犬は再び仰向けになる。この光景はその間隔が段々長くなりつつも数時間も続きました。最後には、上位者が恐い目つきで睨むだけで充分だったのです。
下位者が大人しくひっくり返り、尻尾を股の間に入れて顔を真っ直ぐ空に向けている格好は滑稽そのものです。しばらくしてから、この犬はゆっくり頭を動かし、相手の様子を窺い、上位者が反応を示さないと尻尾をのばし、まず後ろ足、ついで前足を動かし始めます。でも、もし、相手が厳しい目つきをすると諦めてもとの姿勢に戻るのです。
子犬はまだ経験を積んでいない。実は衝動で動いているに過ぎません。でも、もう少し後になって自分より強力な相手に攻撃されれば、それまでの経験が、生まれながらの反応を助けることになるのです。
先ほどの続きを見てみましょう。悲鳴を上げてひっくりかえった子犬から離れた雄犬は次の子犬に向かいます。最初の子犬は短い足でヨチヨチ歩きながら、可能な限りの速さで懐かしい巣に戻り隠れます。暫くするとすべての子犬は共通の重要な経験を身に付けて巣の中で一緒になるわけです。巣の外では嫌な事が起きる……中は安心だ……!
なぜなら、子たにこのような体験を積ませた雄犬は、彼らを巣の中まで追いかけはしないからです、子犬全員が巣に帰ってしまうと、雄犬の一見あふれんばかりの遊戯に対する情熱は無くなってしまいます。これを見ると、この行為が非常に大きな教育の目的でなされているといわざるをえないのです。
さて、子犬たちは父親のすさまじい優位を徹底的に、しかも衝撃的なやり方で学ぶということに注意しましょう。また、この瞬間から、子犬たちは、巣が全世界だとは思わなくなり、彼らは直感的に、知っているものとそうでないものがあることを学ぶのです。二一日目以降、巣の中に手を入れてみると、怖そうに身を引き、場合によっては脅かすように唸ったりします。小さな子犬のそれまでの盲目的信頼は、未知のものに対する不信に変貌してしまったのです。



コラム

先天的な問題犬がいない訳

ビビリ(病的なもの)は一種のコミュニュケーション異常です。
犬がまだ今より自由な生き方をしている頃、犬を病的に恐がる犬が、はたして子孫を残す事ができたでしょうか?
犬に近寄る事も近寄られることも出来ない犬は交尾することが出来ません。また、群れの数を減らしてしまうような攻撃性のある犬も群れから排除されてしまうでしょう。
犬の機能は群れをなし狩をして生活するために出来ています。
その犬の群れの中に(人間の群れの中に)人を(犬を)組み入れる事で現在の私たちと犬との関係は成り立っているのです。
幼犬期に上手く人間と付き合う方法を刷り込んでおかなければ良い関係がつくれないと言ってもいいでしょう。
しかし、ペットショップやこういった事を知らない人に育てられた犬が多く存在する事も残念ながら事実です。

知らない事は罪ではない、

しかし、知ろうとしないのは罪だと思う・・・


ニックネーム ポセイドン at 03:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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